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開業事例

医師

労務の知識ゼロで右往左往 標榜科の特性踏まえ職員の採用基準は明確に

開 業 日:H19年7月
開業年齢:47歳
標榜科目:小児科
開業形態:一戸建て

 夫婦で医師をやっていますが、私の方の開業の動機は大学のポスト問題です。新任の教授が来たので、これ以上大学に残っても仕方ないと思い1年かけて円満退職しました。結果的に自分が生まれ育った地で開業することになりましたが、初めからこの地に決めていたわけではありません。今の物件に辿り着くまでいくつもの物件を見送りました。いい条件の物件だと思い話を進めていたら近くに競合する小児科があったり、建つはずのテナントがご破算になったり、オーナー側から「整形外科や眼科なら(実入りがいいので)OKだが、小児科はNG」と断られたり、医院継承のケースでは親類が出てきて揉めたりと、物件探しだけで丸1年かかりました。ビルテナントなら4千万円程度ですむと思い、当初はビルテナント希望でしたが、もはや選べる状況ではなく、結局土地付きの一戸建てになりました。借入は医師信用組合と地元の信用金庫から1億5千万。開業の土地と自宅、妻の実家など担保を複数準備したので、予定額を上回る借り入れができました。都市銀行系は難しいだろうと、初めから選択肢にありませんでした。
 「競合する医療機関がないこと」を重視し、診療圏調査は3回以上やりました。同じ場所でも半径500メートル、1キロメートルと範囲を変えて調査し、割と役に立ったと思います。開院時の広告・宣伝は電柱、新聞折り込み、ホームページ、ポスティング、内覧会と手広くやりましたが費用は50万円以下に抑えました。ホームページは親類が作成。素人なので作りはシンプルですが、そんなに手広くやろうという気持ちはないので、情報量としては十分だと思っています。
 患者来院数は予想より多く、初日から50人。病院勤務時代に父の診療所でアルバイトしていたこともあって、その頃診ていた患者さんも含め遠方からも来てくれます。駐車場も手狭になり、駐車場用の土地を昨年新たに購入しました。冬場は予防接種の時期でもあり1日の来院数が100人を超しますが、夏場はガラガラ。私の場合は幸い妻と二人体制なので、繁忙期には一人は診療、一人は予防接種と分担したり、子どもの学校行事へ交代で出席したりと勤務に融通をきかせることができますが、小児科は季節変動が激しく診療体制の調整が大変だと認識しておいた方がいいですね。
 看護師の採用にあたっては、小児科という特性上子持ちであることを選定基準にしています。やはり子どもと接する立場ですから扱いに慣れているという点では重要な要素です。逆に、受付はパソコン等への順応力を重視し、若い人と決めていました。医院内の労務関係は妻が大方担っており、採用も妻の担当。医院スタッフはほとんど女性ですから、同性の目で厳しく判断してもらったほうがいいかもしれません。ただ、労務の知識はもっと付けておくべきだったとつくづく思います。今でこそ税理士がいるので何とかなっていますが、当初は就業規則や試用期間の設定、社会保険の加入義務、退職金の基準などわからないことだらけで大変な思いをしました。開業後に慌てないように、基礎知識くらいは事前に押さえておいた方がいいかもしれません。
 開業当初は正直、今まで携わっていた高次医療とのギャップから物足りなさを感じ、やりがいを持てない時期もありました。今では地域の患者さんを丸ごと診ることの面白さが少しずつ分かってきて、開業医の役割の重要性を実感しています。開業当初は患者数が伸び悩み焦ることもあるかもしれませんが、無理をしても長く続かない。結局、医師と患者にも『相性』があるのです。3年先を見据えて自然体で診療を続けていれば、患者さんは少しずつ定着してくるものだと思います。

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