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開業事例

医師

開業は登山と同じ、相談相手が大切 先入観に囚われない自分らしい開業準備を

開 業 日:H22年5月
開業年齢:43歳
標榜科目:内科・呼吸器科
開業形態:ビルテナント

 大学病院で勤務していましたが、医長の交代を期に、今後どういう身の振り方をしていこうかなと考えていた時、たまたま、今の物件を見かけました。普通の空きテナントでしたが、並びに小児科診療所と薬局が開業しており、大学病院にも近く、新規開業する場所として一目惚れしてしまいました。そのテナントは、薬局のオーナーが医科の開業を期待して押さえていたもので、オーナーと面談したところ、トントン拍子で話が進みました。ある意味、機が熟していたのかもしれません。開業後の病診連携を考えると、退職後の医局や医長教授との円満な関係が必須でしたので、医長には開業の1年前に退職の意思を伝え、快く了解してくれました。開業した今も、大学病院とは良い関係を保ち続けています。
 勤務医時代に、是非しておくべきことは、労務・税務の勉強です。実際にやってみないとわからないことばかりですが、基本となることは知っておくべきです。私は、勤務医の時に保険医協会の勉強会に参加しましたが、そこでの知識は、実際に開業してからも、とても役に立っています。
 開業コンサルタントは頼んでいませんが、薬局オーナーが元MRで、開業支援の経験があり、相談相手になってくれました。開業は、多くのことを並行して進めていかなければいけませんので、コンサルタントでも知り合いでも、遠慮なく相談できる相手が必要だと思います。
 最初にしたのは、開業支援をしてくれる「卸」を決めることでした。開業するには、行政への届出書類がとても多く、書類ひとつのミスで進行が滞ることもあります。そういう面での支援を期待しました。数社の「卸」に、開業支援サービスについてプレゼンをしてもらい、最終的に某社にお願いしました。診療圏調査は、この時に各社から無料で出してもらいましたが、概ね一致した結果でした。尚、「卸」と友好的な関係をつくっておくのは、開業後においても、有利だと思います。
 内装の設計・工事は、「卸」が紹介した大手1社と薬局オーナーからの紹介の地元工務店で相見積もりをしました。工事費、設計図面、そして業者の「本気度」から、地元工務店にお願いすることにしました。結果として大正解でした。実際の工事に入るまでには数十回にわたる設計図面の書き直しをしましたが、誠実に付き合ってくれました。また、開院後のちょっとした修繕もすぐに対応してくれます。地元の業者ならではのフットワークだと思います。大手に拘る必要はないかもしれません。
 医療機器は、基本的に「卸」を通して購入するわけですが、診療の基本となる、電子カルテとPACSは、自分で直接交渉をしました。そのほうが、価格的にも有利です。医療機器の値段は交渉次第ですので、相見積もりを様々な方法で得るべきです。
 医療機器は高額なものが多いので、使用する年数などを踏まえて、リースもしくは買取りを選ぶ必要があります。長期間使うことができる機器をリースにすると、支払い終わったところで再リースをすることになります。また、運転資金を十分に準備できるように、医療機器を買いすぎないようにするのも大切だと思います。電子カルテや心電図やレントゲンなどを院内LANで接続するのならば、医療機器の業者を一同に集めてミーティングを行うべきです。内装の設計図面を見ながら、実際の機器の設置をどうするか検討するわけですが、他業種の専門家の目線で設計図を見てもらうことは非常に有用で、その場で図面を修正した部分もあります。
 職員の募集は医療事務のみ行いました。「未経験者も可」で募集したところ、120名の応募があり18名まで絞り込みました。結果として、有経験者や資格保有者を採用することができましたので、募集の際には、間口を狭める必要はないと思います。電子カルテを導入しているのであれば、全員パート、有経験者1人、他は未経験者というシフトでも、当初は何とかなります。開業当初で看護師を募集しなかったのは、開業直後の患者来院数を1日10人程度と見込んでいたからです。点滴、注射、採血などは自分ですることにしました。診察時の介助、尿検やレントゲン撮影準備、点滴準備などは医療事務の方にやってもらっています。看護師の時給は、医療事務に比べて割高ですので、運転資金との兼ね合いを十分考える必要があります。もちろん、患者数の増加に合わせて、いずれ看護師を募集する時が来ると思います。開業時に看護師を採用しない場合、注意すべき点がひとつあります。開院前準備の時に実際に診療し易いように、注射器、針、スピッツ、薬、リネンなどの配置を考え、手伝ってくれる人を確保しておくことです。私は、友人の看護師に手伝ってもらいました。この辺りは、医師は全くわかっていないので、看護師の協力が絶対に必要です。それが無理であれば、開業時に看護師も一緒に募集したほうがいいです。
 新規開業は、わからないことばかりの暗中模索です。それでも、開業するまでは色々と手伝ってくれる人がいます。実際に開業すると、全てのことを、自分で調べ、決断しなければなりません。友人、先輩、税理士、社労士、保険医協会など、相談できる相手を多く作っておくのが大切だと思います。

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