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開業事例

医師

開業は飽和状態 他にはない特色を打ち出すことが肝要

開業日:平成19年9月
開業年齢:56歳
標榜科目:透析科・泌尿器科・内科
開業形態:レントクリニック

 大学病院に長年勤め院内ポストの関係で退職し、その後総合病院に勤務しました。私は以前から役職にこだわりがあった。学会で研究発表しても大学教授や総合病院の院長と開業医では、残念ながら内容の評価にバイアスがかかるのが現状です。臨床を行いながら学生を教えメスを握る、これが私の夢でした。その道が途絶え、勤務した総合病院も血族経営であったため、将来性を考えて開業に踏み切りました。
 ご存知の通り、診療所開業は飽和状態です。それぞれ専門性を打ち出さなければ生き残るのは難しい。開業医と言えどゼネラリストは存在しない、皆さんそれぞれ専門性を持っているわけですから、それをどう生かすかだと思います。開業するにあたってのポイント、開業それは"他にはない特色"をどう打ち出すかだと考えています。私にとってそれは「病床を持つ」ということでした。診療報酬制度の関係からみても有床診療所として開業するのは無謀、リスクが大きいと知人からもアドバイスも受けました。しかし入院患者を診たい、というポリシーが私にはあった。周囲にも透析を行う医療機関が点在する中で自身が生き残ることも考え、そして診療報酬制度の将来性も考慮し病床を持つ決断をしたわけです。
 その特色を打ち出すためには、相応の土地の広さが必要になります。しかし土地が広くなれば比例して家賃が高くなる。様々な情報収集をして坪単価などの平均などを知り、それを勘案した上で現在の開業地を選びました。融資も多額になりましたが、ある銀行が偶然に開業医向けのキャンペーンをやっていたこと、そして他の銀行の支店長で知り合いがいたこともあり、うまく事が進みました。そう考えると、何にしてもやっぱり"人との繋がり"なんですね。絶対に一人では開業なんてできない、そういった意味では幸運でした。
 勤務医をしながら開業準備を進めましたのでコンサルタント業者にお手伝いいただきました。有床診療所ということもあり、とにかく行政に提出しなければならない書類が多い。コンサルタント料に250万円かけましたが、それが高いか安いかという評価は難しいですね。コンサルタントがいなければ開業できなかったのは事実ですが、値段があってないようなものですし、250万円といったら車1台買えてしまう値段がひと月くらいの付き合いで支払わなければならないわけですからね。損したとは思わないですが高いな、というのが正直な感想です。
 スタッフについては前勤務先から連れてきた方が多くいます。しかしここで注意すべき点は、以前の勤務先では「被雇用者と被雇用者」であった関係が、開業し院長になれば「雇用者と被雇用者」なるということです。そうなれば必然的に一線を引かなければうまくいかない、これはスタッフが多ければ尚更のことです。そこで院長とスタッフの間に入る、言わば仲介役のようなスタッフの存在ができれば非常に楽になります。総合病院当時の待遇を保証するから、と声をかけたのですが多くの方が手を挙げて下さいました。そういった意味では前勤務先からすると面白くないかもしれませんね。スタッフの多くは正規職員で雇用しています。チームとして患者を責任持って診るためには、パートやアルバイトだと指示やポリシーが適切に伝わらない。入院患者からしても担当が日替わりで入れ替わるよりも「1対1」で正職員が密着した方が安心できるということです。
 広告・宣伝にも多く支出しましたが、やはり口コミが一番。そして、私自身が特色として打ち出した"病床を持っている"これが広く伝わっているようです。前勤務先とも病診連携を行っていこうと、一定の約束は交わしていたのですが、私の医療機関により患者が集まるようになると患者の紹介は全くなくなり関係はシャットアウト。これも面白くなかったのだと思います。
 生きるか死ぬかの覚悟がなければ開業すべきでない、これは実感として思います。誰でも開業ができて、簡単に融資が受けることができて、華々しい開業生活が送れる-なんていう時代はとうの昔に終わっています。もう開業は飽和状態。経営に関して我々は素人だという自覚を持つべきです。開業する前、そして開業後も絶えず経営のノウハウなど情報収集するために高くアンテナを張ること、これが重要だと思います。今後の診療報酬改定も見据えて経営の将来計画を模索しています。それは私自身の中にある「怖さ」がそうさせるかもしれない。しかし、先を見据えてモノを見なければ生き残ることはできない、そう思っています。

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