医師
前テナントの残存物 コンサルタント通じて交渉し自己負担なく撤去
開業年齢:46歳
標榜科目:循環器科
開業形態:テナント
開業を意識し始めたのは6~7年前でした。大学に残って研究を続けるより臨床現場で多くの患者を診たいと考えるようになったことや、勤務医では自分のしたい診療をしづらい環境にあったことなど色々理由はありますが、例えば生活習慣病の経過をフォローしながら狭心症を未然に防ぐことなど、臨床医として診療に面白みを感じ始めていたことも、自分の背中を押しました。
開業を決めた後は関連するセミナーに何度も足を運び、最終的にそこで知ったコンサルタント会社に相談しました。選んだ基準にしたのは、開業後もきちんとフォローしてくれるかどうかです。開業後のフォローがないコンサルタント会社もあると聞きますが、私が依頼したコンサルタント会社は、開業後も何度もクリニックに顔を出して開業後の雇用問題にも応じるなど、誠実な対応をしています。
開業地はコンサルタント会社に希望を伝え、提案のあった候補地から選びました。自分が選んだポイントは、①自宅から前勤務先までの通勤経路にある、②前勤務先の患者も来院しやすい場所―です。開業にあたり、前勤務先で診ていた患者さんも可能な限り診たいと考えていたため、患者さんが通いやすい場所であることも重視しました。
診療圏調査は、現在の開業地だけでも3回以上行いました。確かに数字は参考になりますが、集患には苦労しました。開業にあたっては宣伝活動にも力を入れ、チラシやポケットティッシュの作成、ホームページの開設などで周知しました。
また、開業する3日前には内覧会を開催し、当日は300名以上の方が来院されました。しかし、近隣地区を含めて医療機関数が多いこともあってか、開業後半年間はなかなか患者が集まらず苦労しました。ただ、開業してもうすぐ1年経とうとしていますが、内覧会で配布したチラシを持参する初診患者さんもいるので宣伝効果はあったと思います。
現在開業しているテナントは、当初前テナント(英会話教室)の残存物が残っていました。その撤去費用については、コンサルタントを通じて大家さんと交渉し、全額費用負担していただくことができました。撤去費用だけでも百万単位でお金がかかると言われていたので、余分な借入をしなくて済み、本当に助かりました。
一方、設計・施工段階では気づかず、開業後に発覚した問題点もあります。クリニックの入口には段差があるため、前テナントが残していった段差スロープをそのまま使っていましたが、高齢者には傾斜がきつく、実際に患者さんから指摘されるまでは気づきませんでした。この点は施工業者との打ち合わせでも気づかず、もっと注意すればよかったと反省しています。
開業する時にコンサルタント会社を利用する場合、どの会社に頼むのか熟考すべきです。私は、開業後のフォローがないコンサルタント会社よりも、多少金銭的な負担が増えたとしても、開業準備から開業後まで責任持って対応してくれる、誠実なコンサルタント会社を選んでいただきたいと思います。