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開業事例

医師

職員の採用は慎重に 私が直面したトラブル

開業日:平成18年11月
開業年齢:52歳
標榜科目:脳神経外科
開業形態:借地戸建

 開業場所は、大手ハウスメーカーの社員である親戚に相談し検討しました。当初ビルテナントも検討していましたが、脳神経外科で将来MRIを導入して地域医療の充実を考えていましたので戸建開業も視野に入れていました。戸建開業を考え始めた頃、ちょうどその時期にハウスメーカーが会社として、試験的に市街化調整区域にクリニックを建てる計画があるということで紹介されたのが今の開業地です。市街化調整区域ですが借地料は非常に安く、そのため広い駐車場が確保でき郊外型のクリニックでオープンできました。クリニックと県道を隔ててすぐに住宅地が広がっておりましたので、それも決意した大きな要因のひとつとなりました。
 この場所は、従来"陸の孤島"でした。しかし県道が新設され景色が一変しました。それまで近辺に医院がなかったので、患者は開業当初から非常に多かったです。外来患者数は開業当初1日25人でしたが1年で100人になりました。順調に患者が増え医療法人化し、目標だったMRIを導入しました。
 しかし開業後、建築上の問題が生じました。診察室からレントゲン室への移動するときに、患者さんの動線と重なり本当にやりにくかった。設計する際には、診察室と検査室、処置室など移動する上で、効率的な動線に注意された方がいいと思います。また、将来の拡張スペースを想定できる展開口の確保についても設計段階で考えた方がいい。最近はしっかりとした耐震構造で造られているので、後から簡単に壁を抜いて待合室を作ることはできません。ここは注意が必要です。
 スタッフの雇用管理については募集から採用まではスムーズでした。開業した友人や社労士から、遅刻やクレームなど勤務態度が悪い場合、その都度注意をすることが必要だと教えられていました。採用の際、3回以上注意して改善されないようであれば次回は解雇する-などの手続きについて雇用者に確実に話しておくことがトラブルを避けるひとつの方法だと思います。
 雇用では実際に大変苦労しました。当初10人パートで採用しましたが、すぐに3対7の派閥ができました。問題の3人は全員自分で辞めていったので結果的によかったのですが、辞めた後に問題が起きました。在職中にそのうちの一人から、母親の病気の看病を理由に1カ月休職願いがあり許可しました。実はその間、別の医院へ就職活動をしていたのです。結局看病を理由に退職しましたが辞めて半年ぐらいしてから、全く知らない整形外科の先生から電話があり、その問題の職員を一時雇用し、その後解雇したとのことでした。するとその職員がその整形外科の先生を訴えたというのです。先生からは「不当解雇だとして労働基準監督署に訴えられていて150万円を要求されている状況。これから裁判になる」と連絡がありました。お聞きすると、私の医院を休職中に「無職」と偽り面接を受けていたようで、それを私に証明してほしいということで、履歴詐称が証明されれば裁判でも有利になると協力を求められたのです。私見ですが職員の採用では、医療従事者でおしゃべりなタイプは自分を取り繕うことに慣れているので、注意が必要だと思います。

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