医師
開業費用を抑える秘訣は自分で調査・交渉すること
開業日:平成19年4月
開業年齢:43歳
標榜科目:整形外科
開業形態:ビル診
開業について分からないことばかりなので、自分で積極的に動き、様々なことを調べました。
診療圏調査については、それ程当てになるとは思いません。地域の人口構成や有病率などから来院患者数を割り出しますが、商業地域や国道沿いなどあまり集患が見込めない場所でも診療圏内に人口があればよい数字が出ます。それよりも近所に同じ科はないか、同じ科ならどのような医療をしているのか、集患が見込めるよい住宅街があるかといったところが重要だと思います。
開業すると言うと、様々な業者が寄ってきます。私が経験した迷惑な行為ですが、勤務先に出入りしていた業者にレントゲンのカタログを持ってきてくれるよう頼んだにもかかわらず、リース会社の人を一緒に連れてきました。そして、リース会社が銀行からの融資の手続きも任せてくださいと言ってきたのです。私は全額銀行で借りるつもりでいたのですが、リース会社が勝手に一部を銀行からの融資、残りをリース会社からの融資、と設定していたのです。リース会社の言い分は、リース会社で借りたほうが銀行より金利が低いから、メリットがあるというものでした。もともと無担保・無保証人で借りるつもりでしたので、銀行から提示された金利は4~5%でした。無担保・無保証人でも、もっと低い金利で資金を調達できる金融機関はあります。結局、リース会社は顧客の利益よりも自分の会社の利益を最優先するのです。ですから、私はその融資を断り、自分で金融機関を回って交渉しました。その中で印象がよかったのは、信用金庫とある地銀でした。大手銀行も回りましたが、金利を低くしてくれるよう交渉しても相手にしてくれません。その点、信金などは貸してくれようという意欲も見えますし、金利を0.1%でも下げてくれようと努力してくれました。
開業すると、勤務医の時とは別の大変さがあり、収入や借入金などお金に関することはストレスになります。勤務医であれば給料を全て自分で使えますが、開業すると、診療報酬は2ヶ月遅れで入金され、薬などの仕入れの支払いは翌月・翌々月ですし、税金は翌年から支払うなど、収入と支出の時期がずれるので、たとえ銀行口座に数千万円残高があっても、きちんと計算してキャッシュの流れを把握しておかないと経営が破綻する恐れもあるわけです。また、将来的に控えるリフォーム資金などに備えるためにも経営については長期的なスパンで見ることが必要です。
私はコンサルタントなどに依頼せず、自分で開業の段取りをしました。業者を探したり、内装や機械の相見積をとったり、開業までのスケジュールを調整するなど、勤務しながら同時平行で開業準備を行ったので、体力的に非常に疲れましたが、その分、開業資金はかなり抑えられたと思います。