医師
信頼のおけるコンサルタントと契約し、妥協はしないこと
開業日:平成17年11月
開業年齢:43歳
標榜科目:小児科
開業形態:医院建て貸し
郊外型の医療モールを手がけているコンサルタントの開業支援を受けて開業しました。妥協せずにじっくりと自分にあった物件を探したため、開業を決意してから開業までは2年くらいかかりました。当初は他の激戦区で開業を考えていましたが、診療圏調査の結果(小児科が比較的少ないので集患が見込める)や通勤も比較的便利な現在の地に決めました。駅前の物件ではありませんが、小児科の場合、薬局が隣にあり、広いスペースの駐車場がある方がお母さん方にとって利用しやすいと考えました。小児科の集患は、何よりお母さん方の口コミです。何人かがクリニックのファンになってくれると、幼稚園や保育園のお母さんグループにそれが伝わり、患者さんが増えます。
私が依頼したコンサルタントは、土地を有効活用したいと考えている所有者(オーナー)、住宅メーカー、調剤薬局、医師を繋ぎ、地域の住民が必要としている診療科目を開設して地域にいい医療を提供することを目的としていました。この明確なコンセプトに共感し依頼しました。
開業資金については、小児科なので設備があまり多くないこと、また内装費用を含めた家賃を支払うシステムであるため、自分で内装費用を負担しなくて済んだ分初期投資が少なくて済みました。ビル診の場合、スケルトン渡しなので坪数にもよりますが内装費用だけでも1,500万円位かかると思います。家賃については、経営を成り立たせるために支払える家賃を、とコンサルタントがオーナーと交渉し要望に応じた金額を設定してくれました。
レントゲンや事務用品などは、知り合いの協力で安くしてもらいました。全てコンサルタント任せにせず、自分でも動くことも大切です。コンサルタントが提示する機器などの見積りは、コンサルタントの取り分が上乗せされているのが業界の慣例のようですが依頼したコンサルタントはメーカーが出せる最低価格を提示しているとのことで安心しました。
開業して大きく変わったことは、「医者」ではない仕事(例えば人を雇ったり給料を支払ったり業者とのやり取りや、税金のことなど)が増えたことです。ですから開業後も様々な相談に乗ってくれるコンサルタントの存在は大きいです。毎月コンサルタント料を支払っていますが、それに見合うサポートをしてくれます。私の担当者は経験も豊富で、いい医療を提供したいという信念を持った信頼のおける人であり、第三者の目線からアドバイスをしてくれるので心強いです。また、月に1回モール全体(コンサルタント、オーナー、薬局長、同敷地の他の診療所院長)でミーティングを開催しているので情報交換もでき、経営を円滑に進める上で役立っています。
開業にとって一番大切なことは信念です。開業医の方が勤務医より楽だとは決して思いません。開業後1年位は職員との信頼関係の構築がすごくストレスでした。また、個人の開業医が従業員に毎月決まったお給料を支払うことがどんなに大変なことかがしみじみわかりました。
職員は最初はパートでしたが、今は全員正職員です。人件費は高くなりますが、私の考えとして、小児科の場合、日々顔ぶれが変わるより、いつも同じ人が対応してくれることが患者さんの安心に繋がると思うからです。