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開業事例

歯科医師

患者・スタッフを前勤務先から引き継げた、はいいが‥ 最大のメリットが最大の悩みに

開業日:H23年7月
開業年齢:45歳
標榜科目:歯科
開業形態:ビルテナント

 勤務していた病院が歯科部門を閉鎖し、その時点で抱えている患者も多くいましたので病院側からも近隣での開業を依頼され、やむなく開業に踏み切った形です。私のプランでは、病院の中で医科との連携を図り全身疾患との関係を勘案しながら患者を診ていきたい、将来的にもそのつもりでいました。当然開業するつもりなどなく、病院側から歯科部門を閉鎖するという話を聞かされたのも閉鎖の半年ほど前でしたので、忙しなく準備を進めてきたのが実情です。勤務も開業する1カ月前まで続けていましたので、設計などで取れる期間も半月ほどしかなく時間的には厳しい状態でした。開業準備については、こちらが忙しい分、業者にお願いする部分が多くありますので業者選定だけは最大の注意を払いました。
 開業に際しては、病院からユニットなど使える機材を開業先に持っていくことができましたので資金的には助かりました。また現在の患者は9割近くが前勤務先から引き継いでいる患者。そういった意味では集患などに開業当初から苦労はしなかった。ですから診療圏調査などは一切行いませんでしたし、運転資金も全く準備しませんでした。前勤務先とのいい連携が取れていて、入院患者の往診も週1回行っています。定期的に往診依頼がきますのでそういった意味では大変助かっています。開業直後の月の来院患者数も500を超えていましたし、現在でも1カ月以上先でしか予約が取れない状況です。
 これだけ聞くといい話だけのように聞こえますが、いろいろ大変なこともあります。スタッフは前勤務先から全員連れてくることができたのですが、これがストレスの種になっています。病院に勤めていた頃は私も、そして今こちらで働いているスタッフも“雇われる側”でしたが、現在は私が“雇う側”になる。もう長年の付き合いになりますので関係が“なあなあ”になってしまう、要するに友達感覚です。これが一番のストレスです。院長の立場でモノを言ってもあまり効果が出ない、どうしたらスタッフと一線を引けるのか、これが今後も課題です。また女性スタッフの関係性がこれだけ強いと新しいスタッフも雇用しづらい要素になります。なかなか既存の輪に入りにくいですからね。
 あとは患者。多くの患者を連れてくることができるのはメリットばかりではありません。前勤務先には精神科もありましたので関連の疾患を患っている方も当然来院されます。当然なのですが奇声を上げる方もおられます。病院の中では普通の光景も、ここではそうではなくなる。病院にいた頃は入院患者の体調に気を配りながらこちら側からアプローチいたしますが、開業すると患者側からのアプローチになる。その点は注意しています。それらの光景はなかなか他の患者からの理解は得られにくいものです。またこれまで病院で診ていた患者が大半を占めていますので予約がそれだけで埋まってしまう。もう何百人と断っています。地域の方から見れば、最初こそプレミア感があるかもしれない「予約が取れない医療機関」というイメージが、徐々にマイナスイメージになってしまう。そのような中、患者は当然高齢化してきますから、新患がつかない状況のままあと10年したらどうなるか、これが一番の心配事です。
 私はそもそも開業志向がありませんでしたので、開業に際しては患者、スタッフを引き継げたことが最大のメリットだと感じ、この場所、このスタイルを選んだ形となりました。しかし今となっては患者が来るかどうかの不安材料を抱えたとしても、完全に新規で開業することも選択肢になるかと思っています。

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