1. トップページ
  2. 開業事例
  3. 歯科医師
  4. 居抜き開業は『新規開業』以上のビジョンを

開業事例

歯科医師

居抜き開業は『新規開業』以上のビジョンを “デメリット”を“メリット”に

開業日:H22年9月
開業年齢:34歳
標榜科目:歯科
開業形態:ビルテナント

 私の中に当初「居抜き開業」の選択肢はありませんでした。“居抜き開業によるビジネスモデルはない”、前の医院が閉めたからにはそれなりの理由がある、私が開業を考える際に持っていた概念でした。しかし、友人が居抜き開業で一定の成功を収め、準備状況、業者の選定やコストの話などを聞き、自分の中にも「居抜き開業」が現実味を帯びてきた。居抜きにより低コストで開業できれば、たとえ患者数が少なくても収支の目途が立つ、最悪はほかに移転すればいい、そんな考えが生まれたのです。
 開業地の診療圏調査では1日でも3名来るか来ないか、そんな結果だったのですが、この場所での開業を決めたのはこれまでの経験から地理的な問題、駅からほど近く裏には住宅街がある、それと大きかったのは信号がある交差点だったということです。信号があれば人は必然的に足を止める、そこに見やすい大きな看板があればそれだけで多大な宣伝効果が生まれると考えたのです。診療圏調査はあくまで人口動態や地図上での試算に過ぎない、最終的に頼れるのはやはり経験に基づく“直感”です。
 居抜き開業は「失敗する」という話をよく聞きます。ただ明確なビジョンを持ち、計画を立てれば“納得のいく開業”ができると思うのです。前の医院はなぜ閉めたのか、雰囲気はどうだったのか-逆にそこを改善できれば患者は来る、私はそう思っています。また、居抜きだからといって費用を抑えたいがあまり、新規開業のイメージが伝わらないことも致命的です。外装はもちろんですが内装にも一定費用をかける必要があると思います。私の場合は500万円前後投資しましたね。自分のこだわりもありますし、スタッフにも働きやすい環境を作ってあげたかったので、スタッフ専用のトイレやスタッフルームを作りました。スタッフに患者の情報が共有(相談)できる場所を提供したかった。もちろんユニットなどはオーバーホールしたりフローリングの床はそのまま利用したり、とこだわりと支出のバランスは考えました。
 患者を集めるにあたってはもちろん工夫をしました。前医院は法人経営の分院だったため本院の先生と話をし、前の医療機関名で当時抱えていた患者に新規開業の案内ハガキを出してもらった。もちろん個人情報の関係で名簿をいただくわけにはいきませんから、費用や実務作業はこちらですべて持ち、前医療機関名のみ貸していただいた。そうすれば、既存の患者さんにも宣伝ができ、「先生が変わったのなら寄ってみようかな」というモチベーションにも繋がるわけです。
 ただ居抜きならではの苦労がないわけではありません。前医院で通っていた患者さんがインプラント治療を行っていたらしく、その後の不具合を私の方にクレームを付けてきた。ただこういったリスクも開業前の準備で回避できる。私は前医院の本院と話を付けて、幸い距離的に近かったので前医院でのトラブルについては患者を送ることを取り決めていました。ほかには抵当権などの確認や家賃更新時期を短くすること(価格交渉がしやすい)、なども気を付けるべき点ですかね。一部のショッピングモール内での開業では最初家賃を低く提示し、その後大幅に引き上げるなんて言う話も聞きます。
 居抜き開業は、新規開業と比して確かに低コストで開業することができます。しかし、それに甘んじることで起こり得るデメリットを十分に考慮し、それに余りあるビジョンを持ち準備をすることです。居抜き開業の賞味期限は3カ月、そこでいかに患者を掴むかだと思っています。居抜きのメリットを最大限活用しつつも“居抜きを感じさせない”、これが肝要ですね。

 お電話でのお問い合わせ・ご相談は045-313-2221

医院開業支援
開業をご希望の方へ
開業事例
医師
歯科医師