歯科医師
相手の言い値を丸呑みしない 複数の意見を聞き信頼のできる人を選ぶこと
開業年齢:33歳
標榜科目:歯科
開業形態:ショッピングモール
開業のきっかけは開業している友人の紹介で、ショッピングモールを扱うコンサルタントに相談したことでした。開業場所は、自宅から近く、人が集まる場所で依頼をしたところ、大型ショッピングモールの物件を紹介されました。はじめは、自己資金が少なかったのであまり気乗りしなかったのですが、実際に見てその物件が非常に気に入りました。コンサルタントからは、「医療機器、内装工事等を受注すれば、紹介手数料はいらないが、受注しない場合は100万円もらう」といわれました。友人から税理士の紹介を受け、現状を相談したところ「コンサルタントは、大手の医療機器業者とは違うので仲介料だけ払って、自分で内装、医療機器を用意した方がよい」とアドバイスを受けました。ショッピングモールの契約手続き終了後、医療機器等は自分で対応すると伝えると態度が一変。100万円ではなくもっと多額の紹介手数料を要求されました。何度も交渉をし、100万円+レセコンを入れることで話を付けました。コンサルタントの口約束は信用できないと肝に銘じるべきです。
内装でも問題がありました。インテリアデザイナーの友人に設計を依頼し、坪40万円で依頼したところ、施工日のギリギリになって提示された見積額は坪70万円でした。これは酷いと思いました。私の叔父が一級建築士でその設計図をみてもらうと、これはただの家具図にすぎないと指摘を受けました。さらに友人から150万円の設計料を請求され驚きましたが、叔父が歯科医院では配管など目に見えないところが重要で、それが全く描かれてないことを書面で送ったところ、その後は何も言ってこなくなりました。友人とは険悪になってしまいましたが、仕方ないと思いました。施工日直前で設計からやり直しとなり、再度叔父に内装を依頼。ショッピングモール側は、歯科医院が入ることを想定していなかったので、積載荷重の問題が浮上しました。建物自体の設計の問題から開業の可否を確認することになり、時間がかかりました。ショッピングモール側からは、他の店舗との同時オープンを強く言われましたが、設計が全く間に合わず、10月に施行開始となりました。防火に関しては、天井から60センチは物を設置してはだめだとか、スプリンクラーを各部屋に設置することなど、設備規則が厳しいことにも注意すべきです。設計も友人であっても任せきりにするのではなく、準備の進捗状況を点検しないと、私のように開業計画が遅れ、開業日に間に合わないという最悪な事態になります。2カ月の遅れは新規開業にとって資金計画の前提が崩れる大きな問題です。
スタッフの採用でも苦労しました。前勤務先の衛生士が、働きたいというので採用しましたが、「家賃が高いから給料を上げてほしい」など平気で言ってくるので辞めてもらいました。前勤務先からの採用は、慣れている分、よい面もあるかも知れませんが、人柄を判断し採用には注意すべきです。
宣伝に関しては、開業地域にはインプラント専門医が多かったので、義歯を中心とした医院として広告を打ち出し、約10万部発行のタウンニュースでPRしました。また、ショッピングモール敷地内の1階で、定期的にテナント紹介を行えるので、今では、年配の方を中心に徐々に患者も増えてきています。
開業については、一人で考えず複数の人から意見を聞き、信頼のできる人を選ぶことです。