歯科医師
業者は自分が失敗しても関係ない 行動は受け身でなく自分から起こすこと
開業形態:ビルテナント
開業する友人を見てきましたが、自分が開業するとは深く考えていませんでした。しかし、医療法人の分院長への要請を引き受けたことが開業する方向性を決めたと思います。その法人の歯科医院は、オープンしても患者が少なく、医院の売却話が出たり、給料が払われないこともあり、辞めることにしました。本気で開業を覚悟したのはそこからです。
開業には開業場所の選定、設計・施工、医療機器の選定、融資などクリアすべき課題があります。歯科の場合、材料業者、大手医療機器業者、コンサルタントなどに相談する方が多いと思いますが、彼らは何千万円と動くお金に関与できればよいので、その医師が失敗してもかまわないわけです。私は全く信用しませんでした。しかし、不動産等の知識や物件のことなど、入手したい情報は業者から受けるなどうまく活用しました。
歯科の開業支援をする友人から開業物件の紹介を得るために、歯科材料業者を紹介してもらい、十数件の物件を絞り込み見て回りました。めぼしい物件は、診療圏調査を3回以上行ったほか、折りたたみ自転車を車に積んでその物件の周辺をめぐり、1カ月位見て回りました。私が重視した点は、テナントの前を通る人数です。人数が少なければ見た目が良くても選択しませんでした。
設計はインターネット上の「マイホームデザイナー」を活用しました。理想の間取りを自分で選定し家具等も配置し3Dの立体画面で確認できます。テナントの面積等を入力すると、設計画像が出てきます。配管もミリ単位で指定でき、修正もできるので、自分で設計図を作成することができました。施工業者に依頼する時には、間取りや柱など細かいデータも提供しお願いしました。
私の場合、スタッフの雇用では苦労しました。開業の数週間前に新聞求人広告で募集したところ歯科衛生士は4名の応募がありました。当初から正規職員で採用し、良き連携関係を作って、診療体制を組みたいと考えていました。1名の衛生士を採用し、その友人も助手で希望しているというので、とりあえず採用することにしました。開院1週間前に集まってもらいましたが、ドアを開けるなり言葉使いになどの意味不明な表現や言葉に目が点になりました。勤務態度も友達と口笛を吹くなど、初日から解雇したくなる状況でした。2カ月の間、我慢していましたが、常にどういう形で辞めてもらうかばかり考えていました。仕事はできても言葉や生活スタイルが全く違い、一緒にやっていくことは無理だと判断し辞めてもらいました。スタッフの採用は、余裕を持って対応することをお勧めします。
開業にあたっては、行動は業者ではなくすべて自分から起こし、情報が必要な際にはうまく活用するなど、自分で動くことが大切だと思います。