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開業事例

歯科医師

肝に銘じるべきは、歯科医師は"世間知らず"であるということ

開 業 日:H21年
開業年齢:49歳
標榜科目:歯科
開業形態:ビルテナント

 私の失敗は、ある業者が主催した開業セミナーに参加したところから始まりました。そこで個別相談会があり、物件紹介をしていただいた段階で計80万円の支出。ここまでは良かったのですが、実はその業者が、内装業者や医療機器業者とウラで繋がっていたのです。結局忙しさにかまけて、物件を紹介いただいた業者にすべてを任せにしてしまったことが、その後に大きな影響を及ぼしました。
 「最先端の医療を目指すのではなく地域に根差した診療がしたい」との夢を持ち開業準備を始めたわけですが、理想と現実は違う、これを痛感しています。
 業者が実施した診療圏調査は役に立ちませんでしたね。実際の患者数は調査結果の数字の約半分。診療圏調査はあてにすべきではない、実施するのであれば自身で何度も足を運ぶべきです。私は業者の数字を鵜呑みにしてしまった、これが大きな勘違いだったのです。
 物件が決まり、いざ内装工事、医療機器業者の選定、広告・宣伝、といった段階に入ったわけですが前述の通り、すべて入口の業者が関連業者を斡旋してきたのです。経理事務所までも斡旋を受け、忙しかった私に選択の余地はありませんでした。最初のセミナーで個別相談を行った時点で、業者としては開業までの斡旋への道筋が出来上がっていたわけです。それに私はうまく釣られてしまったというのが正直なところです。
 内装に関しては、開業後に調べたところ同じような仕様でもっと安価でできるということが分かったわけですが、言われるがまま内装工事を任せたところ費用はトータルで数千万円。また、医療機器についても紹介された医療機器業者は他県。医療機器の調子が悪くなっても今日、明日来てもらえない、これには困りました。
 医療機器は中古を導入しています。これも業者からの斡旋だったわけですがここでもトラブルを抱えました。パントモのフイルムが合わない、ユニットが故障しても修理に来るまでに1カ月、そこで治らないからと次に来るまでにまた1カ月。当時は患者が少ないので大きな支障はありませんでしたが、ユニットは治療する上での生命線です。知人の中には中古機器をうまく利用している例もあるようですが、仮に次に開業するようなことがあれば、どんなに金銭的に苦労したとしても私は新品を購入します。利用される先生にもよりますが、私にとって中古医療機器利用はデメリットしかないというのが現状です。
 宣伝も業者の言う条件で多く実施しました。ポスティングは一定の効果があったと思います。しかしホームページの契約に関しては注意が必要です。私は5年間のリース契約を結びましたが、ホームページ業者は立ち上げた途端、こちらが更新の催促をしない限り一切の手を引いてしまい先方からの提案など皆無です。リースについてはホームページ契約以外にも言えることですが、メリットとデメリットがある、それは考えるべきだと思います。
 近隣開業医との関係にも気を配るべきですね。開業するにあたり近隣の歯科医院に菓子折を持参してあいさつ回りをしたのですが、先生に直接お会いできないのはざら、例え会えたとしても「何しに来た」「よくこの場所で開業できるな」など厳しい言葉を浴びせられました。歯科医療機関は飽和状態です。やはり周囲で開業されるのは面白くない、それが本音だと思います。
 開業後の苦労としては、やはり保険請求の問題です。開業前にしっかりと保険請求について学んでおくべきだった。勤務医時代は査定・返戻などについての状況は、実際は院長しか知らないケースがほとんどだと思います。その当時正しいと思ってやっていたことが、実は請求上誤りであったことに開業してから気付かされる。開業当時、資金的にも厳しい状況の中で、振り込みが遅れてしまう返戻などは正直堪えます。
 「理想と現実は違う」、これは間違いありません。甘い考えは捨てるべきです。私たちは開業・経営に関しては素人ということを自覚して、主導的に開業準備を進めるべきです。勤務医を続けながら開業準備を進めるためには、すべて業者に丸投げした方が楽ですよね、でもそれで開業後に"痛い目"を見るのは私たちなのです。

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